『光車よ、まわれ!』 天沢退二郎

相方が図書館で借りた本。1973年初版で、絶版だが、復刊ドットコムで復活するらしい。

<ネタバレあり>
読みはじめてすぐ、1ページ目に登場する「ばけもの」の描写と、2ページ目のイラストにぞっとした。水たまりの影、伸びてきた小さな手ときて、この本はファンタジーと聞いてたが、ホラーかと思った。最近のお話には昔の神話などを参考にした登場人物が多いが、この本には何か得たいの知れない、作者創造の恐ろしさが登場する。

子供の頃住んでいた家の裏に一メートル幅の用水路が流れていて、その向こうは大きくて暗い静かな工場だった。自宅を朝日からさえぎる存在だ。何の工場なのかわからないのがまた恐ろしかった。そんなことを思い出した。

大家のおばさん、泥人形のふりをする人たち、緑の服と説明不足な面は多々あるが、読みながら期待と不安で胸が苦しくなる、読み進めずにはいられない力をもった本だ。

光車よ、まわれ!←図書館の本はハードカバー。
光車(ひかりぐるま)よ、まわれ!←文庫。絶版かな?

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