『ビジテリアン大祭』 宮沢賢治

玄米菜食で体質改善をめざしはじめてから、レシピや外食情報を求めて、ベジタリアンのHPをよく見るようになった。そこでベジタリアンの・名人に宮沢賢治の名があり、しかもこんな作品もあると知り、図書館で借りた本。

「かわいそうだから食べない」という考えは何となく腑に落ちない。私にとって「かわいそう」は相手を小ばかにしたような感情なんだと思う。動物相手には、不遜な感じがしてしまって、そんな気持ちにはならない。大量に「物」として生まされ、育てられ、殺されたり、捨てられたりしてるのを見て、本当にひどいことをしているとは思うけど、それは「かわいそう」とは違うので、涙は出ないし、出るとしたら怒りの涙なんだな。結局、動物に人間と同じような感情があるかないかは人間にはわからないのだし。

ビジテリアン大祭

私の借りたこの角川版には「ビジテリアン大祭」の他に10作品収録されていて、もうひとつベジタリアンに関連する作品として、「フランドン農学校の豚」がある。家畜撲殺承諾証書をその家畜から貰うという話を、家畜である豚の視点で描いている。

宮沢賢治が何故ベジタリアンになったのか判るかもしれないと読んだ本だったが、まっすぐ書いているようにみえてちょっと皮肉な感じがして、本当のところはよくわからなかった。この二作品以外も面白いが、昔の言葉だったり仏教の話が多かったり、原稿が欠けていたりで、多少読みにくい面もあり。


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