『スローフードな人生!』

スローフードな人生!―イタリアの食卓から始まる

数年前に話題になったときは、きっと「地球に優しく」とか何とかにつながる、私にとっては今更という話だろう…という気がして無視していた。現在のロハスを眺めるのと同じようなハスにかまえた視線で(笑)。今年前期の放送大学で『人間と自然'03-食・農・環境の展望-』を受講することにして、参考図書として図書館に予約していたが、もう単位を取得したあとになってようやく手元に届いた。

以下、覚え書き。
(P126) …選ぶことなく、評価もせず、理解しようともしない。食べ物に対して、まったく注意を払うことなく、それを考えもなく口に運ぶ。思うに、それこそが真のファーストフードである」

(P154) 「伝統は、成功した革命である」

P341~P344に書かれているエリザベスというアメリカ在住のフードライターの話の要約。
――アメリカの食をめぐる一番の特徴はダイエット。若者の約6割がダイエットを必要不可欠と考え、人生の課題はというアンケートに、ボディーウェイトという主婦も大勢いた。

二つ目は第一素材と消費者との間の距離が遠すぎること。現在のおばあちゃんの時代はまだ遠くないところにあったが、その娘は仕事も忙しく、家でろくな料理をしない。孫の世代はおばあちゃんの味を知らず、そのことに疑問すらわかない。

三つ目はオピニオン・リーダーの堕落。また、彼らの言葉を孫の世代が鵜呑みにしてしまうこと。

四つ目は大量生産で安い食品を、安いからと大量に買って、なぜ安いかよく考えもせずに、ドンドン掻き込む。掻き込んではまたダイエットに金を使う。

覚え書き終り。

事前の私の予想とは異なり、失われつつあるイタリアの食文化とそれを巡る人々の様子、感じたことなどを、ほどよく淡々と、いいも悪いも、押し付けもなく描く文章には好感をもてた。

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