『A Wizard of Earthsea』『The Tombs of Atuan』『The Farthest Shore』

久々に「当たり」の小説であった。こういう本と出会えて、じっくり浸れることは、とてもとても幸せなことだと思う。更に嬉しいことに、英会話の先生に見せたところ、多少古いけれど、とても美しい、きれいな英語だ、と言ってくれ、購入して何度も読み直す価値のある本だと確信した。

『ゲド戦記』という邦題が、遠ざけていた大きな要因だろう。宮崎映画が話題になった時にも読む気は起きなかったが、何故かつい最近、相方に「どんな話?」と質問していた。ファンタジーではあるけど、現象よりも内面を描いた、哲学的なところもある物語だという答えを聞いて読んでみようかという気になった。

A Wizard of Earthsea (Puffin Books)

一作目、物語は適度に冒険し(汗)、飽きずに読み進められた。何より現象の描写も心象の表現もとても淡々と美しい。でもそれがよりよく感じられるのは、二作目。

The Tombs of Atuan: The Earthsea Cycle (Earthsea#2)

Gedの登場までは長く感じられたけど、これがあったからTenarのその後の心の動きを表す描写が生きてくるのかもしれない。特別物語のクライマックスでもない場面で、登場人物の心の動きに対してドキドキできるなんて久しぶりだ。ダイレクトに表現せず、その微妙な気持ちをわずかな行動を描写することで感じさせる、そんな魅力的な文章を書ける素晴らしい作家なのだろう。

The Farthest Shore: The Earthsea Cycle (Earthsea#3)

三作目、これもまた冒険活劇というよりは、精神の旅路という感じ。そしてまた三作ともGedは死を予想させるほどにダメージを受ける(笑)。生き残りはするが、安易なハッピーエンドでないところがまた私の好みにはまっている。

そして、三作目ラストで、確かに話は三部作として綺麗に終わっていると思った。なので、短編はまだしも、四作目がどんなふうなのか少々不安。

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