『藍―風土が生んだ色 (ものと人間の文化史)』、(2)

藍―風土が生んだ色 (ものと人間の文化史)
藍〈2〉暮らしが育てた色 (ものと人間の文化史)

ほとんどは藍染めに携わる各地を巡り、話を聞くというような内容。醗酵させる藍染以前の話を知りたくて借りたが、生葉の藍染めについてはほんの数ページの記述のみで残念。

1冊目ではあとがきのなかで、山崎青樹氏の言葉として「生葉で染めた色は藍建てして染めた色より堅牢なのだそう」と書かれている。しかし2冊目では堅牢度が弱く、今後の課題と記載されている。

いわゆる藍染めは、明治以降の苛性ソーダによる即席の化学建と、明治以前の天然灰汁醗酵建では、色落ちや堅牢度が違うということは、藍染めの工房に勤めていた義理の母から何となく聞いていた。自分は藍の色が似合わないし、藍の強い色を他の色と合わせるのも難しいので、その話を聞いたときはそれほど興味がわかなかったが、この本でようやくその意味がわかった。化学建では生地を傷めるとも書いてあるということは、藍が糸を強くする、という効果も天然灰汁醗酵建だけの話なのかもしれない。著者も言っているが、天然灰汁醗酵建てだと判るような表示があったほうがいい。藍染めにもいろいろあることを知っている人がどれだけいるだろうか。

��追記2011.8.6 上記藍の建て方の違いなどについて詳しく説明されている方のページブログ。参考まで。>



泥染め、埴染めについての記述があったので、少し引用して覚書。
P214 埴は黄色がかった赤い粘土のことで、陶器の材料にもするが、布(衣)に摺りつけて模様を出すのにも使われたのである。奈良県の今井町あたりでは埴染といって、埴土を使って布を染めることが、つい近世まで行われていた。その方法は、土を粉のように細かくして水を加え、その液に布を浸けて黄土色に染めたのである。

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